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伊与原新『宙わたる教室』あらすじと感想。ネタバレ注意

読書
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「何かを始めるのに、遅すぎることはあるのだろうか」

仕事や家庭に追われるうちに、そんなことをふと考えたことはありませんか。

今回ご紹介するのは、伊与原新さんの『宙わたる教室』(文春文庫)です。

定時制高校の科学部を舞台に、年齢も境遇もばらばらな生徒たちが「学ぶこと」に向き合っていく物語です。

読み終えたとき、「自分ももう一度、何かに夢中になってみたい」と思わせてくれる一冊でした。

なるべくネタバレなしで書こうとは思いますが、気になる方はご注意ください。

こんな方におすすめ

  • ドラマを観て、原作小説も読んでみたいと思った方
  • 新しいことを始めたいけれど、年齢や環境が気になって踏み出せない方
  • 読後にあたたかい気持ちが残る小説を探している方
  • 理系の話は苦手だけれど、科学の面白さに触れてみたい方
  • 学校や仕事で、居場所のなさを感じたことがある方

『宙わたる教室』のあらすじ

舞台は、東京・新宿にある定時制高校です。昼間は働き、夜に学ぶ生徒たちが通っていて、年齢も、ここへ来た事情もひとりひとり違います。

そんな彼らが、理科教師の藤竹先生に誘われて科学部に入ることになります。目指すのは、火星のクレーターを再現する実験です。

ときに力を合わせ、ときにすれ違いながら、夜の教室でひとつの目標に向かっていく。その先で、彼らにどんなことが起こるのかは、ぜひ本を開いて確かめてみてください。

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孤独を抱えた生徒たちが、科学部で少しずつ心を寄せ合う

読んで感じたこの作品の魅力は、人と人とのつながりです。

定時制に通う生徒たちは、それぞれに事情を抱え、どこか孤独を背負っているように感じました。

そんな彼らが、科学部という場所で少しずつ言葉を交わし、支え合って、最初はぎこちなかった距離感が、火星のクレーターを再現するという実験を通して縮まっていく様子が、とても丁寧に描かれていました。

また科学部顧問の藤竹先生やほかの先生方の、押しつけがましくなく、生徒たちをそっと見守り、答えを与えるのではなく、考える機会をそっと差し出す姿勢は温かさを感じました。

同じ定時制でもそこまで関わりがなかった、年齢も事情も違う生徒たちが実験を通じて協力していく様子が印象的でした。

理系が苦手でも大丈夫。やさしい語り口で伝わる科学の面白さ

「科学」と聞くと、難しそうだと身構えてしまう方もいるかもしれません。

私もそうでした。

実際、SFだったり科学がテーマの作品を読むときは、さっぱりわからないところがあったり、なんとなくでしか理解していないところが恥ずかしながらあります。

けれど伊与原新さんは、科学の知識をもとにした作品を書かれている作家さんなので、難しい言葉ではなく、科学の面白さを自然に伝えているように感じました。

専門用語が全くないというわけではないですが、書かれていても、物語の流れのなかで「なるほど」と思えるように書かれていたように思います。

生徒たちが行うのは火星のクレーターを再現する実験なので、クレーターに関する説明があったりするのですが、とてもわかりやすく説明されていました。

読み終える頃には、「科学って面白い」と感じて、夜空を見上げて火星を眺めてみる、そんな読後感も、この作品を楽しめたところでした。

夜の教室で始まる、挑戦する人たちの物語

何かを始めるのに、遅すぎるということはないのかもしれません。

この作品を読んで、そう思いました。

何かを始めようとすると色々と考えてしまって、考えた挙句「どうせ」とか「いまさら」とついつい考えてしまうことってあると思います。

しかし年齢も立場も違う生徒たちが実験に臨む姿を見ていると、「もう遅い」という言葉が、ただの思い込みではないのかと思えてきました。

そして「もしかしたらできるかもしれない」だったり、「気になることをちょっとやってみようかな」という気持ちになります。

もし悩んでいたり、立ち止まってしまっているときに、そっと背中を押してくれる一冊になるかもしれません。

映像でも楽しめます

『宙わたる教室』はNHKでドラマ化もされました。

2026年10月現在ではAmazonプライム・ビデオで視聴できます。

配信状況は公式ページでご確認ください。

小説で描かれる生徒たちの表情や、夜の教室の空気を、映像で味わえます。

ちなみに私はドラマを見てから原作の小説を読みました。

本を読む時間はなくても、映像なら通勤や家事の合間に楽しめます。

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まとめ

『宙わたる教室』は、「何かを始めるのに遅すぎることなんてない」と教えてくれる小説でした。

  • 定時制高校の科学部を舞台にした、学びと再出発の物語
  • 科学の知識がなくても楽しめる、やさしい語り口
  • 読み終えると、あたたかい余韻が残る

新しい一歩を迷っている方にとっては、心の支えになる一冊ではないでしょうか。

またこのブログ記事では続編の『コズミック・ガール 宙わたる教室』の記事も書いています。

合わせて読んでみていただけると嬉しいです。

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